水彩画入門・ステップB 描き方の順序

この入門講座は、水彩画の経験がない方を対象としています。

描き方
例題の絵を、実際に描きながら、描き進める手順を覚えましょう。
上の絵を、あなたも実際に描いてみて下さい。 家などの人工物が無いので、意外と簡単に描けますよ(^^)

私の水彩画教室で、水彩画の経験の無い方に、実際に描かせている第1週目の課題です。
順を追って描いていけば、比較的簡単に描けると思います。
では、描き方の講習のはじまりです。
 
上の作例は3号くらいの小さなサイズで描きましたが、4号〜6号位の水彩紙に描いてみましょう。
これは、私の地元のカルスト台地、平尾台の冬をイメージしましたが、実際には存在しない風景です。少しくらい変えて描いても構いませんが、家などの人工物は入れないようにしましょう。

・鉛筆で下描きをします(これは、スケッチではなく、作品の下描きなので、あまり濃く描き過ぎないように)
◎最後の工程まで、パネルの上部にティッシュの箱などを敷いて、少し傾けて描くと良いです。
※これは、良く見えるように濃く描きましたが、普段はもっと薄く下描きしています。

◎では、空から下へ向かって描き進めていきましょう。
・ペインズグレーに、ほんの少しウルトラマリン・ディープを混ぜた、ごく薄い絵の具を作ります。(絵の具は余るくらいに作りましょう)

・空の部分の下地を、平筆で塗ります。(丘のラインまで塗ってOKです)

・空の部分が乾かないうちに、少し濃い目のペインズグレーを、空の部分に置いていきます。

・空の下地も、後から置いた絵の具も乾かないうちに、紙を立てて絵の具を流してみましょう。

・勿論、紙を立てないで、そのままのニジミを生かすことも出来ます。

・「よし!」と思うところで、紙を水平に戻します。
◎流れた絵の具は、画面の外で、ティッシュペーパーで吸い取ればOK。


・空の部分の乾燥を待ちます。
◎ニジミを生かしたいときは、なるべく自然乾燥が良いです。

・遠景の山を描きます。

・ビリジアンとクリムソンレーキでグレーを作りましょう。
    (絵の具は、余るくらい作ること)ちょっと、しつこい?(笑
・手前の林の所に掛かった絵の具は、ティッシュで押さえます。
・山が乾くのを待ちます。

・林を描きます。

・グリーンは色々な作り方がありますが、今日は、インディゴとサップグリーンで作りましょう。同時にバーント・シェンナを少し滲ませたいので、グリーンより濃い目に作っておきます。それと、サップグリーン、インディゴも濃い目の絵の具を作っておきましょう。
・後で、にじませる色まで作ったら、林を描きます。

・今回は、林の木々、一本ごとは省略して、にじみで変化をつけます。

・林の下地の上に、用意した絵の具を置いていきます。
・紙の下に絵の具が溜まった時は、ティッシュで吸い取ります。

・にじませる絵の具を置くのは、下地が乾くまでの間が勝負です。
・面倒がらずに、絵の具を準備しておきましょう(^^)

・左上の丘を描きます。

・バーント・アンバーとインデアン・イエローを混色します。
・ここは、にじませる絵の具は用意しませんが、下の丘のライン近くは、バーント・アンバーを、少し強くしましょう。


・ここも同じように、水が多すぎる時は、画面の外でティッシュで吸い取ります。

・右上の丘を、同じように描きます。

・右下の丘を描きます。

・色は、上と同じバーント・アンバーとインデアン・イエローですが、丘の上側はイエローを少し強く出しましょう。

・林を描いた時に余ったインディゴとサップグリーンを混色した、渋めのグリーンを部分的に入れます。
・道に近い部分は、バーント・アンバーを、濃い目に置いていきます。

・さあ、もう少しです(^^)

・左も、同じように描いていきます。

・手前に草を描く部分は、グリーンにしておきます。

・バーント・アンバーを強めに置きます。

・透明水彩の絵の具は、濡れていると濃く見えますが、乾くとかなり薄く見えるようになります。暗い色ほどその傾向があります。
これは、沢山描いて慣れるより仕方ないですネ(^^)


・道を描きます。

・ミネラルバイオレットで薄く描きましょう。・手前の部分は、バーント・アンバーを少し置いてやります。

・道が乾いたら、一番手前の草を書きます。ビリジアンとバーントシェンナの混色で描いてみましょう。
・長い葉だけでなく、丸い葉っぱも描きます。
・サッサッ…と描きたくなりますが、最後の仕上げですよ、丁寧に描いてくださいね(^^)/
・完成したら、サインを入れます。この絵の場合は右下でしょうかね!
・透明水彩は洋画の範疇ですから、ローマ字でサインするのが一般的です。
・私は、筆でサインしていますが、鉛筆でも構いません。

■この絵を実際に描いた方へ■
・この課題は、作品を作る事が目的ではなく、空や山の描き方、絵の具を紙の上でにじませる事などの練習です。
・水彩画はとにかく枚数を描かないと、なかなか上達しません、一度で上手く行かなくても、諦めないで2枚3枚と練習して下さいね。
・最初は、家などの人工物が入らない景色が描きやすいと思います。スケッチに行くのがベターですが、最初は写真を撮って来て、それを元に描いても良いです、とにかく描いてみることです。

透明水彩画を、はじめから上手く描ける人は居ませんし、短期間ですぐに上手くなるほど容易なものでもありません。上手い人も、始めた頃は、失敗した作品が山ほどあるのです。一にも二にも練習あるのみ。たくさん描いて、水と絵の具と紙に馴染んでいきましょう。
水彩画の世界は、奥が深いです、しかしそれゆえ一生の趣味として続けていくことが出来るのです。

あなたが、生活の中に、水彩画を描く至福のひと時が持てることを願っています(^^)/

この入門講座を見て、誰か一人でも水彩画を描き始める方が居たら嬉しいです。
2007.2.24


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